物理に恋して
「先生って大変ですね」
「な」
そういう先生も先生だけど。
先生も、明後日のテストまだ作り終わってないんでしょ?
言いたいけど、いつもみたいには次の言葉が出てこない。
まさかのふたりきりに、戸惑う..
それより。
早くお弁当食べちゃわなきゃ。
急いでお箸を持ち直すと。
「ゆっくり食べな」
「..はい」
見透かしたように、先生がそう言った。
「...熱?」
先生が頬杖をついて、聞いてきた。
「..はい..」
「まあ。あんな格好してたらな。」
「はい..あ、パーカー、すみません。まだ返してなくて」
「いいよ、いつでも」
くわえてたお箸をそのままに、黙って頷いた。