物理に恋して


「あー、じゃあ」



「秋野、手、出して」

「?」

右の手のひらを見せると、ふいに委員長の両手が伸びて。










「これ、誕生日おめでとう」









「え、」

「また明日」

委員長ははにかんだような表情でそう言うと、足早に行ってしまった。









手首にはカラフルなビーズが連なった、腕飾り。


ビーズに売店の蛍光灯が反射して、夜なのに、まぶしく光ってる。


あまりに突然のできごとに、右手首を見たまま、動けない。

左手には売店の袋。


え、っと、ありがとうも何も言えなかった..


袋に入れた携帯が震える。



早く部屋に戻らないと。
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