物理に恋して
「ほら、タルト食べよ!美月の好きなキルフェボン」
「うん、昨日近かったのに行けなかったから、嬉しい」
滲んだ涙をぬぐって笑う。
「そうそう、菜摘にそっちの班が回るルート聞いて、行かないって言うからさー、こっちの班行動で組んどいたから」
「え!そこまで?ていうかいつから?」
菜摘と優希ちゃんは顔を見合わせてハイタッチする。
「まーあいつのせいでサプライズは終わったけどねー」
「本当だよねー。あれ、隼人くんだっけ?また騒いでたよ。秋野さんいないの?って聞かれたよ」
菜摘がくしゃくしゃになったわたしの髪を直してくれながら言う。
「しかも、あいつの友達がケガしたらしくて!
うちのクラス近くにいてさ、すっごい騒ぎになってた。」
優希ちゃんが興奮気味に言うから、紙皿にのせたタルトが落ちそうになってて心配になる。