物理に恋して
ベンチに座って薄暗くなった空を見上げる。

夏の夕暮れ。

街灯や自販機に明かりが灯る。



「秋野って笑いの神様背負ってるよな。」

「へ?」


わけがわからずに委員長の方を見ると、パックから水鉄砲のようにミルクティーがピュッと飛び出た。


「あっ、ごめん!」

「あはは!」


慌ててハンカチを取り出しているわたしの横で、委員長はまた笑う。


先生が笑わないせいか、ものすごく笑う人のように見える。


癖なのか、少し困ったように下を向いてでも声を出して笑う、委員長。


─ なんか委員長の前でドジばっかやってるような…。


そんなことを思いながら、ストローをくわえて、ぬるくなったミルクティーを飲み込んだ。





それから。

テスト範囲がどうとか、担任がどうとか、他愛もない話をして、わたしたちは図書館へ戻った。
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