物理に恋して
木曜日 〜あと4日〜
「マジで? あたしも行こうかなぁ」
「マナ、物理じゃないじゃん。てか文系だし!」
「だーってタバコ吸ってる柊ちゃん見てみたいじゃーん」
「じゃ今日も行くし、一緒に来れば?」
「えーっ! それイイ!!」
木曜日の昼休み。
女の子たちの会話を傍らに、わたしたちは教室の後ろでおしゃべりしていた。
「へえ〜 有馬って柊二って言うんだ〜 似合うかも」
菜摘が鏡を見ながらつぶやく。
瞼に重ねられた細かいラメがキラキラ眩しい。
「でも“柊ちゃん”はちょっとイメージじゃないよね」
優希ちゃんはロッカーに寄りかかって、携帯を手にしてそう言った。
わたしはテスト日程をメモしながら、早くテスト期間になってしまうことを祈った。