物理に恋して
「そう?」
「うん」
そう、何より、ここが一番安全なんだ。
唯一、二人きりになれる場所。
─ 先生もお昼食べてないよね。もう少ししたら、コンビニかなんかで買ってこよう。
「先生今日は忙しくないんだ」
抱えたままだったバッグを横に置いて、スカートのプリーツを直しながら聞く。
先生はカチカチとマウスを操作している。
「ああ、解答解説もできあがってるし、採点もほとんど終わってるし」
その時、小さくパソコンの電源が落ちる音が聞こえた。
…なんだかものすごく嬉しくなる。
わたしが嬉しさを耐えるよう、下を向いてつま先を見つめていると。
パタンと音がして、パソコンを閉じた先生が、ドカッと隣に座った。