物理に恋して
─…先生、気づく?
念を送ってみたけど、先生は下を向いてプリントを数えてる。
「……。」
悔しいけど、全然、気づかない。
全然…。
キーンコーンカーンコーン・・・
じっと念を送っているわたしを置きざりに、無情にもチャイムが鳴り響く。
「うわ、優希、じ〜ゃねっ! ほら、美月、行くよ〜。」
ベランダで繋がってる教室に向かって、菜摘に戻るよう促されたけど。
「トイレ行ってから戻る!」
そう言って教室内を横切り、廊下から自分の教室に戻った。
わたしの横顔に先生がきづいてくれることを願って。