物理に恋して
ピリリリリ…

家についてマナーモードを解除した途端から、呼び出し音が鳴り止まない。


「――はい」


しびれを切らして出ると、ざわざわとうるさいなかで声が聞こえる。


「俺、今試験期間中なんだよ」

「は? シケン? 何の?」

「わりーな、忙しいから切るわ」


まずくなった煙草を灰皿に押しつけると、新しい煙草に火を点けた。






物理の試験はもう終わってるんだけど。





目の前には採点を終えた答案用紙。



美月の暗号。



しかもクラス2番の点数取りやがって。

ちなみに、1番は佐々本。





ピリリリリ… ピリリリリ…





再び鳴り響く着信音。





らしくないのは解ってる。





でも、しょうがない。






電源を切ると、赤ペンで補足した。






俺の試練期間はあと2日。
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