物理に恋して
「ごめん、あたしたち買い物してく!」



バッグを引かれて改札から逸れる身体。



びっくりして優希ちゃんを見ると、申し訳なさそうにみんなに手を振っていた。



「えーっ じゃまたメールで回すからぁ!!」

「またなぁ〜!!」



みんなが見えなくなって、目の前にはにっこり笑う優希ちゃん。



…なぜだかものすごくドキドキする。



「あたし新しいファンデ欲しくて、付き合わせちゃってごめんね。」



ほっとした。



「なんて言ってみたり。」



はっとした。



その時、音にしてた優希ちゃんの携帯が鳴って、「約束があるから!」と改札を抜けてあっという間にホームへと消えた。



な、なにこれ。



みんながいなくなって、優希ちゃんまでがいなくなって、駅の改札前に取り残されたわたし。



なにこれ。なにこれ。



そう思いながらも、足は自然と、もと来た道へ急いでいた。





補習に来た本当の目的、叶えたい。
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