物理に恋して

先生の隣

気づくと車の右側にいた。



─ やだ、先生についてきたらこっちきちゃった。



後ろのドアに手をかけると、先生が前のドアを開けた。



「前、乗れば」


「え」


「暗えし」



思わず見上げる。
先生は顎で早く乗れと、促した。



わたしはぎこちなく前のドアをくぐり、シートに体を滑らせた。



バン



閉められるドア。



「ベルト」


「あ、うん」



運転席に回った先生は、わたしがシートベルトをつけるのを横目で見ると、車を発進させた。
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