物理に恋して
「え、あ、でもここら辺、交通規制かかってるから通り抜けとかできないかも」
「そんな遠くないから行けるだろ」
先生の問いかけにわたしは驚いた。
でも、近くに花火できるところがあるから、と先生は車を走らせる。
この辺りの交通事情を先生は知っているみたいで、混んでる道をうまく避ける。
─ でも、こんな近くに公園なんてあったかな?
後部座席にはファミリーパックの花火。
─ 先生が買ってきてくれたのかな ?
だとしたら、似合わないよ… ものすごく嬉しい。
「これでさ、ジュースとか買ってこいよ」
コンビニの前につくと、そう言って1万円札を渡した。
「あとかき氷な。」
「はい」
わたしは急いで何も持たないで家を出てきてしまったため、申し訳なかったけれど、素直にお金を預かった。
先生かき氷って言ってたな…
確かにそこは、かき氷を売っているコンビニで、わたしはいちごとブルーハワイを頼んだ。
「ありがとうございました〜」
お茶やジュースが入ったビニールを手首に引っ掛けて、かき氷を両手に持つとドアを開ける。
「美月」
隣の駐車場みたいなところから声が聞こえた。