物理に恋して

「え、あ、でもここら辺、交通規制かかってるから通り抜けとかできないかも」

「そんな遠くないから行けるだろ」


先生の問いかけにわたしは驚いた。

でも、近くに花火できるところがあるから、と先生は車を走らせる。

この辺りの交通事情を先生は知っているみたいで、混んでる道をうまく避ける。



─ でも、こんな近くに公園なんてあったかな?



後部座席にはファミリーパックの花火。



─ 先生が買ってきてくれたのかな ?



だとしたら、似合わないよ… ものすごく嬉しい。


「これでさ、ジュースとか買ってこいよ」


コンビニの前につくと、そう言って1万円札を渡した。


「あとかき氷な。」


「はい」


わたしは急いで何も持たないで家を出てきてしまったため、申し訳なかったけれど、素直にお金を預かった。



先生かき氷って言ってたな…



確かにそこは、かき氷を売っているコンビニで、わたしはいちごとブルーハワイを頼んだ。



「ありがとうございました〜」



お茶やジュースが入ったビニールを手首に引っ掛けて、かき氷を両手に持つとドアを開ける。



「美月」



隣の駐車場みたいなところから声が聞こえた。
< 84 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop