物理に恋して

シロップ


「帰るか」


先生が言いながら室内へ向かう。


「まっ」

急いで置いたままのかき氷のカップをつかみ、後を追う。

「危ねっ」

きゃ

足元のバケツに躓きそうになり、ふらついて。
どうにか体勢を取り戻す。


「…だいじょうぶか?」

「あ、っと、うん、」


足下でぐわりと揺れて止まったバケツにほっとし、先生の問いかけに答える。


「…あ」

気づけば、赤いシロップが、先生の肩にこぼれていた。
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