きみと過ごした最後の日を、ぼくは覚えていますか。



目が覚めて、三日後のことだった。


「記憶障害...ですね。裕介くん、あのときは強く頭を、ぶつけたようですから...。」

担当医に言われた言葉がそれだった。


『記憶障害』


記憶喪失、と言うべきなのか。

眠っていた間、二年のリスクだけでなく、俺の脳からはいくつかの情報が消えていた。


そして真っ先に判明した、消えた情報の一つ目が彼女...陽子さんだった。

泣きながら、「目が覚めてよかった」と俺を強く抱き締めてくれた陽子さんに言えた言葉は、「誰ですか?」...


それ以外に何も無かった。



< 7 / 24 >

この作品をシェア

pagetop