きみと過ごした最後の日を、ぼくは覚えていますか。
目が覚めて、三日後のことだった。
「記憶障害...ですね。裕介くん、あのときは強く頭を、ぶつけたようですから...。」
担当医に言われた言葉がそれだった。
『記憶障害』
記憶喪失、と言うべきなのか。
眠っていた間、二年のリスクだけでなく、俺の脳からはいくつかの情報が消えていた。
そして真っ先に判明した、消えた情報の一つ目が彼女...陽子さんだった。
泣きながら、「目が覚めてよかった」と俺を強く抱き締めてくれた陽子さんに言えた言葉は、「誰ですか?」...
それ以外に何も無かった。