【短】恋のTrick or Treat
チャラ男なんて嫌いだ。大っ嫌い。
すぐしっぽ振って愛想を振りまくし、
利用するだけ利用して、私の思いは置いてけぼりで。
『俺と別れて』
突然そう言った元彼は、私の顔すら見ずに冷たく吐き捨てて私に背を向けて去っていった。
それは去年の10月のことだ。
私の誕生日の前日だった。
あまりにも突然の別れだったから、理解出来なくてもう一度確かめようと翌日、彼を探したら、隣には別の女の子のがいた。
一気に血の気が引いた。
絶望的な私の誕生日でもあり、
ブラックハロウィンでもあった。
家に帰れば美味しいケーキが用意されてたのに私は一口も食べずに部屋にこもりっきりで
一晩中泣いたっけ……。
大好きだったのに、それは自分だけだったのが悔しくてバカバカしくて、恥ずかしかった。