【短】恋のTrick or Treat
「はっ、……おい、ついたっ……」
振り向くとそこには全力で走ってきたのか、膝に手をついて息を整えてる瓜山がいた。
少し顔を上げて私を見る彼は、とても息苦しそうで、少し笑っているようにみえる。
「あー、つっっっかれた!」
「………おつ、」
「責任とってよね」
「は?」
にこやかな整ってる顔に私は首を傾げる。
「責任って、意味わからないんだけど」
そう告げると得意げに鼻を鳴らした瓜山。
まるでそう言われることを分かっていたみたいに。
「ふふん!南川ほんとかわいいよね」
「はぁああ!?」
「ほら、そーゆとこ」
「……この手には乗らないから」
「ん?なんか言った?」
「いーーえ。なんも言ってません」
それだけ言うと私は改札口へ歩み始めた。