【短】恋のTrick or Treat



瓜山ってこんな風に笑うっけ?


くしゃっと、本当に楽しそうな、そんな笑い方を彼はみせた。


いつもとはどこか違う笑い方だ。



いま、ものすごくドキドキしてる……。



いつも見ているはずの笑顔なはずなのに、いきなり変わった笑い方をするから。




「ん?なに?俺の顔になんか付いてる?」



少し照れたように頬を小さく掻きながら笑う彼にこれまた大きく高鳴るわけで……。




「なんでもありませんけど」


「そっか」


「うん」




再び静寂が訪れる。




視線だけを落として右手を見る。



しっかり繋がれている私の手はすっぽり彼の大きな手によって包まれていて、ぬくもりを感じた。




もうすぐ冬を知らせるこの冷たい風に負けないくらい温かい。




私たち、まるで恋人じゃん。





「南川ってさ、俺みたいなやつ嫌いなの?」


「………」


「嫌い?」




彼にしては珍しく弱気な声だ。




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