【短】恋のTrick or Treat
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地元の最寄り駅に着いた私はまだ火照ってる体をその冷たい風で払ってもらうべく遠回りして家を目指すことにした。
はじめて自分からした。
ほっぺだけど。
体が火照ってるのはこれだけじゃない。
私の誕生日を覚えてることに嬉しさが溢れて、恥ずかしくて。
『次はココにしてね』なんて恥ずかしがることもなく言われてしまったけど、当分私からすることは無いだろう。
──ピロン♪
着信は瓜山からだ。
【これからもよろしくお願いします!】
の一言と、可愛らしいくまのスタンプが表示されている。
私も同じように返す。
次々と送られてくるメッセージと大量のお菓子の写真に、私は終始ニヤけていたと思う。
チャラ男を、ううん。
もう一度信じてみよう。
そう思わせてくれた不思議な魔法使いを──。
Happy Halloween!