【短】恋のTrick or Treat



今日最後のチャイムが鳴りはじめると、みんなが一斉に動き出す。



その様子を横目に今朝の紙切れを筆箱から引っ張り出してもう一度読み返した。



ダイナミックな大きな文字で書かれた私への用件。



男の子なんだなあ、なんて思ったり。


意外と整ってる字だなって思ったり。


この字は許せる、とか。


彼が、す……。




「…………」




す?



私なに今思った……?



『す』ってなに?




「はぁ……行くか」



『す』の続きなんて私にはこれっぽっちも無い。


だから考えても無駄。


そんなことより、さっさとあの人に会って早く帰りたい。





教室にはもう彼の姿は見えていなかったから、先に行ったのかな。



そらなら早く帰れそう。



意外としっかりしてるじゃん。



チャラ男でも、ちょっと見直したかも。





そんなことを呑気に考えながら学習室Bへ向かっっていった。






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