【短】恋のTrick or Treat
錆びた音を響かせながらドアを開けるとそこには誰もいなかった。
「……え」
思わず出た声が静かな教室に微かに響く。
周りを見渡してもいなくて、
教室を間違えたんじゃないかって思って確認したけど
ちゃんと【学習室B】て書いてあるし。
まさか、忘れたとか?
そんな、まさか~。
「………」
いや、有り得る。
だってチャラ男だもん。
たぶん、女の子に誘われてほほいと行ってしまったんだ。
これだからチャラ男は。
あんな思いするのはもう二度としたくない。
だからみんなにいい顔してホイホイ女の子について行くチャラ男のことなんか大っ嫌い。
もう私は騙されないんだから。