好きじゃないのに
保健室の不良くん


「おねえちゃん、ありがとう!」



女の子は私にお礼を言って笑顔で小学校へと走っていった。


今日はあいにくの雨。


いつもは自転車での通学だけど今日はお気に入りの赤色の傘をさして通学していた。


雨は好き。


だって傘で顔が見えなくなるから。


(はぁ今日はスムーズに学校までいける。)


そんなことを考えて、ふと目に入った公園を見ていたときだった。



「おい!さっさと飛び越えろよ!」



赤色のランドセルを背負った女の子が何人かの男の子にそう言われて水たまりを飛び越えようとしている。



あ、私も小学生くらいのときやってたな。
今の私だったらあれくらい飛べるかもしれないけど小学生の私なら大きすぎて飛べないかもしれない。





なかなか飛び越えようとしない女の子にイライラしたのか男の子の中の一人が木の枝を投げようとしている。




はぁ…助けろってことね。




「早くしろよ!!」



そう言って男の子が木の枝を投げた。



私は走って女の子をかばうように立った。




「…っ」



結構痛い…


私がかばうと思ってなかったのか女の子を含めみんな、口を開けて立っている。



「もう8時半になるけど時間大丈夫なの?」



そう言うと男の子たちは


「あ!やべ俺今日、日直だ!」「遅刻したらママに怒られる!」


なんて言いながら走っていった。


女の子いじめるくせに日直とかママは気にするんだ。私はおかしくてクスっと笑った。



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