好きじゃないのに
今年も1年生のときみたいに本当の意味での友達なんてできないんだろうな…
「ねぇ!髪の毛!すっごくきれいだね!」
ん?髪の毛?
「え?私のこと言ってるの?」
声をかけてくれた女の子はウンウンと力強く頷く。
私の髪はお母さん譲りの黒色。
周りの女の子の色素の薄い色なんかにも憧れたりすることもあったけどやっぱり大好きなお母さんと一緒の色は好き。
髪なんて褒められたことなかったからびっくりして女の子を見る。
少し目尻がたれさがって女の子らしい瞳。
頭の高いところに結んであるポニーテールに黄色いシュシュ。
結んだ毛先がくるくるしててやっぱり女の子らしい。
話しかけてきてくれたときの笑顔は頬にえくぼができてすごく人懐っこい笑顔だった。
もう見るからに女の子だなぁ。
「やだ。そんなに見ないでよ…照れる!」
そんなこと言いながら照れる仕草も女の子らしくて可愛い。
「私、新倉 南 (ニイクラ ミナミ) っていうんだ!」
またニコって人懐っこい笑顔で笑う。
「えっと…高野 杏 (タカノ アン)です 。」
私もとりあえずは自己紹介。
「そっか!よろしくね!杏ちゃん!」
なんだか直球すぎて私まで素直になりそう。
この子と本当の意味での友達になりたいって思っちゃいそう。