好きじゃないのに



「杏ちゃん!今日、一緒にお昼食べよ!」



黒板の座席表でみたら席が南の後ろだったみたい。

高校に入ってからはお昼はずっと一人だったから誘われるのは慣れていない。


少し恥ずかしくなって下を向きながらウンって言う。


私、こんな女の子って感じじゃないのに…




「あ、そういえば杏ちゃんと修くんって仲いいの?」



「え?修くん?」



修くん?誰だろ


「あ、えっとね!頼本 修哉(ヨリモト シュウヤ)だよ。杏ちゃんが一緒に教室に入ってきた人!」


あーあの不良っぽい人か。


南の話によると…

【頼本修哉 ヨリモト シュウヤ】
歳は私達と一緒。
赤い髪に切れ長の目。
あまりにもオーラが違うので他の男の子は近づけないらしい。
でも180くらいの高身長にあれだけのイケメンだから女の子は近づきたがるらしい。
この学校では来るもの拒まずの男でチャラいと有名ならしい…けど…




「昔はあんな感じじゃなかったんだけどなぁ…」



なんと幼馴染なんだって、南とあいつが。
あんな失礼な男と可愛い南が幼馴染だなんてなんか許せない。




まあでも友達があんまりいないのはなんていうか親近感がわくかな。




クラスはワイワイしてるのに一人でイヤホンで音楽聴きながら窓の外見ちゃってるし…




ーーパチン



あ、目あっちゃった。
てか思わずそらしちゃったし。
だって何見てんだよとか言われちゃいそうだし。




近づけないとか言われてるらしいけど保健室で話したときはそーでもなかったような…


むしろいたずらするくらいだし。


あれは私が女だからなのか!



チャラいから女の子にはとりあえず優しくしとけみたいな?(優しくっていうか意地悪されただけだけどさ。)




ほんとありえない。あんな男どこがかっこいいのよ。


あんな男のことを好きになる女もありえないわ。





はぁ!なんかさっきのこと思い出してイライラしてきた!




「どうしたの?杏ちゃん?!」



私がイライラしてるのがわかったのか南が聞いてくる。




「い、いやなんていうかさ…」


言ってもいいのかな…
南とあいつ、幼馴染だし。
言ったら中学の時みたいになったりするかも…
自分の気持ちは隠すって決めたんだから…


ナニモナカッタヨウニ。



「ううん。なんでもないよ。お昼食べるの楽しみにしてるね。」





ごめんね。臆病で…


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