好きじゃないのに



「ただいまー」



「あら、おかえり。新学期はどうだった?」




家に帰るといつものようにお母さんの声。

お母さんは肩くらいまで伸ばした黒髪に、もう40代なのにシワなんてない顔、笑うと南みたいに小さいえくぼが出る。お父さんとは高校生時代からの長い付き合いで結婚したらしい。お父さんもお母さんも美男美女だから高校生時代はまあモテてたらしい。


私が似たのは黒い髪だけで後はあんまり似てない。笑顔なんて可愛くないし。



なんていっててもお母さんとお父さんのこと大好きだけどね。


恥ずかしいから口では言わないけど。



「んーふつうだったよ。少し疲れたから部屋で寝るね。」




ーーーーパタン。





部屋に入ったとたん、自分のベットに倒れる。


今日は疲れたなぁ。
久々に人とあんなに話した。


今日1日一緒にいたり、お昼一緒に食べたりして南のことがいろいろわかった気がする。


オシャレをすることが好きだから土日は買い物することが多くて、それにおしゃべり好きな女の子。
とくに私にたいしての質問が多かった。
質問っていっても深刻な感じじゃなくて「好きな食べものってなに?」とか「好きな教科は?」ってかんじ。
…南っぽいな。
あんな可愛い子なら彼氏なんてとっくにいそう。



「…ふふ」



なんか面白い子。
今までは誰も私に話しかけて来なかったのに。
まあたぶん自分で話しかけられないようなオーラを出してたかもしれないからだけど…






「今日はいつもより少し楽しかった…」


…かな。


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