許されざる恋〜あの頃キミが大好きでした〜
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。楽しかったです」
「アユ。また呑もうな」
「うん。またね。おやすみ」

僕は店を出てすぐタクシーに乗った
これ以上駿と居るのが辛かった

左指にチラつく指輪
駿の口から出る奥さんの名前

いい加減忘れよう...
昨日まで浮かれてた自分が恥ずかしい

「運転手さん。適当なとこで止めて下さい」

僕はまだ家に帰る気になれなくて、バーで呑みなおす事にした

「はぁ...」
「お客さん。何かあったんですか?」
「まぁ。ちょっとね」

ははは...
バーテンダーに心配される程、僕は今酷い顔をしてるんだろうか

今日は誰でもいいから傍にいてくれないかな

「お1人ですか?」
「はい。見ての通りです」
「良かったらここ出ませんか?」
「いいですよ」

良かった
都合良く誘ってくれる人がいた

僕はまた知らない人に付いて行きバーを出た

「大丈夫?」
彼はさりげなく僕の肩に手を回し、ホテル街に誘導した
今はこんなちっぽけな優しさが身にしみる
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