許されざる恋〜あの頃キミが大好きでした〜
「コーヒー。良かったら」
「ありがとうございます」

駅から少し離れたワンルームマンション
男の一人暮らしだけあって殺風景な部屋だ

そして今、親ですら入れた事ない部屋に小鳥遊さんと二人...

空気おもっ
僕のキャラは崩壊寸前である

「あの。小鳥遊さんはなんであそこにいたんですか?」
「たまたま見かけて」
「立花さんがホテル街に入ってくのがみえたから。つい...声を...」

たまたま...ね
ホテル街にたまたまいたなんて
言い訳にはちょっと苦しい気がするが...
まぁ。今はそれよりも

「駿には。黙っててもらえますか?」
「え....?」
「駿は。僕の性癖知らないんで」

そう
今は小鳥遊さんがホテル街にいた事はどうでもよくて
駿にだけは知られたくない
知られたら、もう生きていけない

「駿くんは...」

ん?
今何か言いかけた...よな
なんか怖くて聞けなくて、僕は思わず黙ってしまった

駿は何か知ってるのか

「駿くんは...」
「やっぱり今は。駿の事はいいです」

聞きたくない
今はまだ...
それに小鳥遊さんからは...

「立花さんは...やはりゲイなんですか?」
「そうだって言ったらなんなんですか?」

小鳥遊さんはまた黙ってしまった
頼むから黙らないで

さっきまでの勢いはどこ行ったんだ
会話が続かない...

「はぁ...」
思わず僕はため息をついてしまった...
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