風と今を抱きしめて……
エピローグ
二年後……
横浜支店の支店長の椅子には、以前課長であった早川が座って居る。
あたふたと貯まった書類を広げては、印鑑を押す姿に、支店長らしい忙しさを感じる。
課長の席には奈緒美が座り、窓口に居た亜由美を呼び、落ち着いた口調でなにやら指示をし出ている。
窓際のパンフレットの棚の前で、新人の若い男女が何やら苦戦している様子で顏を顰めている。
その二人の指導をしているのは、相変わらずお嬢さまの品を残しつつ、社会人らしい表情が生き生きとしている梨花の姿だ。
梨花は社長の娘である事を隠し採用試験を受け、見事合格となったらしい。
真矢の居た頃と変わらず、旅立つお客様を笑顔で見送る色に溢れている。
工事中の建物の中から、激しい言い合いの声が響く。
職人のリーダーらしき男と、ヘルメットを被り堪能なイタリア語でまくし立てているのはユウだ。
職人が負けずと言い返してくる。
ユウは大きく息を着くと、今度は落ち着いたゆっくりとした口調で話出した。
勢いあった職人も、少しずつ穏やかな表情になり、大きくクビを縦に振った。
ユウは職人に手を出し、職人もユウの手に答え固く握手をした。
職人は現場に戻り、なにやら指示を出しはじめた。
その姿を見届けると、ユウは図面をまとめ工事現場を後にした。
ユウは、その時吹いた風に立ち止まった……
スマホを取り出し、懐かしそうにしばらくの間、画面を見ていた。
そこには、金髪の少年二人の間に、スクールの制服姿で日焼けした顔の陸が笑っていた……
横浜支店の支店長の椅子には、以前課長であった早川が座って居る。
あたふたと貯まった書類を広げては、印鑑を押す姿に、支店長らしい忙しさを感じる。
課長の席には奈緒美が座り、窓口に居た亜由美を呼び、落ち着いた口調でなにやら指示をし出ている。
窓際のパンフレットの棚の前で、新人の若い男女が何やら苦戦している様子で顏を顰めている。
その二人の指導をしているのは、相変わらずお嬢さまの品を残しつつ、社会人らしい表情が生き生きとしている梨花の姿だ。
梨花は社長の娘である事を隠し採用試験を受け、見事合格となったらしい。
真矢の居た頃と変わらず、旅立つお客様を笑顔で見送る色に溢れている。
工事中の建物の中から、激しい言い合いの声が響く。
職人のリーダーらしき男と、ヘルメットを被り堪能なイタリア語でまくし立てているのはユウだ。
職人が負けずと言い返してくる。
ユウは大きく息を着くと、今度は落ち着いたゆっくりとした口調で話出した。
勢いあった職人も、少しずつ穏やかな表情になり、大きくクビを縦に振った。
ユウは職人に手を出し、職人もユウの手に答え固く握手をした。
職人は現場に戻り、なにやら指示を出しはじめた。
その姿を見届けると、ユウは図面をまとめ工事現場を後にした。
ユウは、その時吹いた風に立ち止まった……
スマホを取り出し、懐かしそうにしばらくの間、画面を見ていた。
そこには、金髪の少年二人の間に、スクールの制服姿で日焼けした顔の陸が笑っていた……