風と今を抱きしめて……
~大輔~

  大輔はソファーに寝かされている事に気付き、うっすら目をあけた。

 陸が大輔の横で飛行機のおもちゃを抱きしめ、不安そうに正座をしていた。


「大丈夫だ。心配するな」


 大輔は陸の頭をなでた。


「今、ママが氷を買いに行ったから、大丈夫だ。心配するな。」

 陸も大輔の頭をなでた。


 熱で頭が重いのが分かる。


 ふと、部屋の隅のケースの中の、ピンクのパジャマが目に入った。

 ユウの物だと直ぐに分かった。


 大事そうに置かれているケースが、大輔はなんだか面白くなかった。



 
 真矢が帰って来た音がしたのを確認すると、幼いころ食べた祖母の作ったうどんを思い出し、大輔は眠りについた。
< 27 / 116 >

この作品をシェア

pagetop