風と今を抱きしめて……
~真矢~

 
 真矢は陸を寝かし着けると、大輔の様子を見にソファーの横へ座った。

 まだ熱が高いようだ。


 大輔を無理やり起し、百パーセントのオレンジジュースを飲ませた。


 大輔は一気に飲み干した。


 真矢はオレンジジュースを飲めばたいていの熱は下がると信じていた。


 もし、明日になっても熱がさがらなければ、病院へ連れて行こうと覚悟をした。


 水枕を作り直し大輔の頭の下に置く。

 額のタオルを洗面器の氷水で絞り直し、額の上に乗せそっと手で押さえた。


 熱が下がりますようにと祈った。


 突然、その手を大輔がつかみ真矢を引き寄せ、抱きしめた。


 一瞬振り切ろうしたが、大輔のたくましい腕に振り切る事が出来きず、大輔の胸の鼓動をしばらく聞いていた。


 
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