俺様御曹司に飼われました
「君、茅ヶ崎心海さん?」



会社の廊下を歩いてると後ろから声をかけられる。



「あっ……」



振り向くと社長が立っていて、思わず背筋が伸びる。



「これ、落としたよ」


「すみません!」



ペコっと頭を下げて、社長からそれを受け取る。


落としたのは免許証だった。
さっき、会社に出す書類で必要だったからコピーを取ってて、制服のポケットに入れていたのが落ちてしまったようだ。



「君……」


「はい?」



戻ろうとしたあたしを社長の声が引き止める。

社長とこうして話してるなんて、ソワソワしてしまうので早く立ち去りたい。

でも、そういえばこの人は悪魔の父親。
目つきとかがよーく似ている。



「君の住所が見えたんだけど」


「住所……」


「あのマンションの最上階はうちの息子に与えたはずだがどうして君が住んでいるんだ?」


「……えっと」



なんと言えば良いのだろうか。
元はといえば、会社からその部屋を指定されていたはずなのに。

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