俺様御曹司に飼われました
「その時、その故郷で出会った女の子にあきらは一目惚れをしたみたいでね。わざわざその高校に編入をしたんだよ。僕の目を盗んで」


「わざわざ……」



そんなにその女の子のそばにいたいと思うほど、好きだったんだ。



「まぁ、一ヶ月ほどで僕にバレてしまったから。その彼女とは別れていまここにいるわけなんだけどね。連れ戻した当時の暁は荒れ果てて手のつけようがなかったけど、やっと僕とも話してくれるようになってホッとしてる」


「そうなんですね……」



社長の気持ちもわかる。
悪魔は一般庶民とは違う。



「また厚岸に行きたいって言われた時は必死に止めるのが大変だったけど」


「あっ……けし……?」



社長の口から出たのは、あたしの地元の名前だった。



「あぁ、北海道の……わかるかな?」


「はい……」



なんとなく。
なんとなくだけど、自分もそこ出身とは言わない方がいいような気がした。


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