俺様御曹司に飼われました
「いてもよかったのに。行きましょうか」



あたしを横目に萌香さんの肩を抱いて歩き出す。



「仕方ない……仕方ない……仕方ない」



あの人は婚約者。
社長にも認められてる人。

あたしはただの恋人。
将来なんてない。
社長にも認められてない。



「……ふぇ」



仕方ないって思ってるのに、涙が出てきてしまう。



「あのままって部屋に入ったってこと……」



悪魔は今日、学校が休みだった。
昼間はなにしていたかなんてわからない。

あのままって、あの部屋で何をしていたの?
2人はきっと、あたしよりも付き合いが長いでしょ?



「不安……」



この前、悪魔の気持ちを聞いた。

〝好きだよ〟
あの言葉はあたしの宝物だ。

でも、社長のこととか婚約者とか。
元カノの存在とか。

不安にさせる材料がありすぎるよ。



「……離れない」



2人で歩いていった後ろ姿が頭にこびりついて離れなかった。

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