俺様御曹司に飼われました
「ごめん、心海。不安にさせて」



ソファーに座るあたしをぎゅっと抱きしめて、ポンポンっと背中を撫でる。



「……不思議」


「ん?」


「暁にこうしてもらうと安心できるの」


「……心海」



暁のあたしを抱きしめる力が増す。



「さっきの子、婚約者なんだ」


「うん、だろうなって気づいてた」


「婚約者がいること……知ってたのか?」



抱きしめる腕を離して、驚いた顔であたしを見る。



「噂でも聞いてたし、今日社長に聞いた」


「親父……?」



悪魔の顔が険しくなる。



「あ、うん。今日免許証落としちゃって、社長が拾ってくれたんだけど住所がバレちゃって……」


「それで、息子には婚約者がいるから深みにハマるなって言われたってこと?」



悪魔の言葉にこくんと首を縦に振る。



「また余計なことしやがって……」



悪魔の手が拳を作られて、小刻みに震えてる。

きっと元カノの時のこと思い出してる。
辛かっただろう、元カノから離れる瞬間のことを。

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