俺様御曹司に飼われました
「婚約は解消しようと思ってるんだ」


「……え?」


「婚約してても、俺は好きでもない女と結婚する気はさらさらないから」



悪魔の気持ちはわかるけど、御曹司である彼にその選択は許されることなのだろうか。



「大丈夫。向こうもそのつもりは無いから」


「……え?」



あたしの心配ごとに気づいたようで、優しく微笑む。



「萌香さんは、泰治と付き合ってんの」


「え?じゃああの時の……?」



このリビングでキスしてた2人を思い出す。



「そ。あの時キスしてた相手が萌香さん」


「そうなんだ……」


「俺と萌香さんは昔から婚約者と言われて育ってきたけど、お互い好きになることはなかったんだ。でも、結婚するしか道はないんだって思ってた」



悪魔が目を瞑って穏やかに話す。



「……うん」


「でも、自分の立場がどうなってもいいくらい好きな女に出会った。それが心海だよ」


「暁……」



暁があたしの頬に手を触れる。

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