俺様御曹司に飼われました
「……なんだ?」


「萌香さんも俺もお互い結婚したいとは思ってない。萌香さんのためにも頼むよ、親父」


「萌香ちゃんは、泰治だろう」


「あぁ……」



小さい頃は親父が大好きだった。
まだお爺様が生きてて、親父は専務だったかな。
お爺様が死んで、親父が社長になってから生活が一変した。

毎週日曜恒例になってた親父と出かけることもなくなり、親父は家に帰らなくなった。

母さんはそんな親父のために、食べてもくれないのに夕食も夜食も作り続けた。

俺が幼心に、親父のぶんも食べなきゃってなって必死に食べてめっちゃ太ったんだよな。



「こうしてワガママを言うのは高校生の腹いせか?」


「そんなんじゃねぇよ……」



いつか仕返してやろうと思ってた。
母さんをかえりみず、家に帰ってこないであげくには別の女に執着した親父。

精神的なストレスが溜まって、倒れた母さんは気づいたときには病に蝕まれてた。

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