俺様御曹司に飼われました
「あの時お前に辛い思いをさせたのは悪いと思ってる」


「なら……」



同じことをまた繰り返すのは、おかしいのではないだろうか。



「でも、どうしてもこれは譲れない」


「……っ」



親父の気持ちもわからないわけではない。
会社が大事なのもわかる。

俺だって将来継ぐために、経営学を学んでる身だからどういうふうにするのが経営のためかなんてわかる。



「あの時みたいに、嘘をつかなくてもいいから……」


「……あの時」



あの時すごい好きだったのに、自ら手を離した。



「あの時は、こちらの都合で暁が好きだった彼女を傷つける言葉を言わせた。でも、今回はそんな言葉を告げる必要はないから」


「だから、心海に言ったっていうのかよ……」



傷つけるとか傷つけないとかじゃない。
ただ、俺が心海から離れたくないだけなんだ。



「そうしたらもう誰も傷つけないだろう。茅ヶ崎さんも事情をわかってくれてれば」


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