俺様御曹司に飼われました
「そういう問題じゃねぇよ……」



あれから4年の月日が経ってもなにも変わっちゃいねぇ。
親父の考えも、俺の気持ちも。



「どうしてもわかってもらえないんだな……」



寂しそうな目をする親父。



「どうにか俺だけで、萌香さんの家を巻き込まなくできないのかよ……」



萌香さんまで犠牲になることはない。
泰治のことが好きなのに、俺と結婚するなんてそんなのはだめだ。



「じゃあ、留学しろ」


「……留学?」


「アメリカに行って経営学を学んでこい」


「アメリカ……」



いつかは海外で勉強することは考えてた。

でも、俺の頭によぎるのは心海のこと。



「何年かかるかはわからんぞ?その間、あのこと離れなきゃならないけど萌香ちゃんと結婚するよりはいいんじゃないのか?」


「日本に帰ってくる目安は?」


「お前の頑張り次第」



親父の目は本気だった。

一筋縄では心海と一緒にいることはできない。
そんなのは最初からわかってた。

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