俺様御曹司に飼われました
「……暁」



家に帰ったら、ソファーで雑誌を読んでいた悪魔。



「ん?おかえり」



雑誌から顔をあげてニッコリ笑う。

どこからどうみても、明日旅立つ人には見えない。



「心海?」


「いや……」



このままなにも言わないつもりでいるのだろうか。



「どこ行く?」



おもむろに歩き出したあたしの腕を掴まえる。



「暁の部屋」


「え?」



そういえば、悪魔の部屋には入ったことがなかった。
あたしの部屋ばかりだ。



「いったことないなって思って」


「なんで急に?」



表情が変わらない悪魔。
考えてることは読み取れない。



「なんとなく……?」



悪魔には構わないで、そのまま部屋へと向かう。



「ちょっ!心海!どうしたんだよ」


「たしかめたくて」


「……なにを?」


「部屋見てから言う」



悪魔の静止を振り切って、部屋の前へとたどり着く。

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