俺様御曹司に飼われました
「高校なんてあるんだな」



ちょうど、高校のまえだったようでバスからたくさんの生徒が降りてくる。



「いまはもうひとつだけだけどね。あたしもここ出身なの」



嬉しそうに校門にある学校名に触れる。



「ふーん」



あまり興味無さそうにしたけど、本当は嬉しかった。

親父が家に帰ってこなくなってからあまり笑顔を見れなくなってたから。



「ちょっとまってー!」



いま俺の横を通り過ぎた女の子を追いかけるであろう声。
後ろから元気に聞こえてくる。



──ドンっ



「いてっ」



走ってきたその子が俺の背中にぶつかってくる。



「わ!ごめんなさい!」



ぶつかったであろう鼻が赤くなっているその女の子。



「いや、大丈夫。ってか、鼻赤いよ?」



人差し指を彼女の鼻に乗せれば、たちまち赤くなる頬。



「……なっ!」


「ふは、顔も真っ赤」



初めてだった。
女に対して、笑ったの。

だから、興味が出たんだ。

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