俺様御曹司に飼われました
「転校生くん2年の茅ヶ崎さん狙ってんだ?」



前の席に座る男子が俺の方を向く。



「まぁね」


「茅ヶ崎さんかわいいもんねー」


「人気ある感じ?」



人気があると彼氏と別れたとしてもすごく厄介。



「あるけど、転校生くんみたいには誰も狙いに行かないよ?」


「なんで?」


「俺らの1つ上の先輩と付き合ってんだ。俺らにとっても憧れでお似合いなんだよなー」



前の席のやつは、その先輩とやらを好きなんだろう。
とてもいい顔をしてる。



「ふーん。ま、俺はその先輩知らねぇし奪う自信しかないけどね」


「ははっ!さすがー。転校生くんイケメンだよんねー」



お腹を抱えて笑ってる。



「名前は?」


「ん?」


「お前の」


「あ、俺は有島草太(ありしまそうた)。草太でいいよ」



草太は笑顔を向けてくれる。



「俺のことも暁でいい」


「おう、暁」



友達も実際、金目当てのやつらしか集まってこなかった俺には初めてだった。
損得関係なしに近づいて来る奴が。

それが嬉しかったんだ。

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