俺様御曹司に飼われました
「あ」



放課後。
校門を潜ろうとしたら、草太が立ち止まる。



「草太?」


「いや、あれ茅ヶ崎さんの彼氏」



校門のところにいる車によりかかってる男を見て言う。



「……じゃあ、心海のこと待ってんのか」


「だな」



俺らの一つ上だと聞いた。
車によりかかるその姿が自分には出来ないことでしかなくて、悔しく思う。



「俺、学校戻る」


「へ!?」



俺の言葉にびっくりした声をあげる草太。



「心海のこと誘う」



どうしても、彼氏のところに行って欲しくないと思ってしまう。

誰かを見て、負けたかもしれないというのは初めてだった。



「誘うって、彼氏きてんのに誘いに乗らねぇだろ」


「いんだよ。それでも。少しでも関われれば」


「ガチかよ」



なんと言われてもいい。
俺は心海を手に入れるために、この学校に入った。

彼氏がいるからって諦めてたまるか。



「ガチだよ、いいだろ。じゃあな」



草太に背を向けて、もう1度さっき出てきた玄関に入る。

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