俺様御曹司に飼われました
「手に入れられなかったものなんてない」


「どんだけよ」



可笑しそうに笑う。

その笑顔が可愛くて、輝いてて。
気がついたら頬に手が伸びてた。



「ちょ、ここ廊下だから……」



それに気がついた心海が慌てて顔を逸らす。



「どっか空き教室ねぇのかよ」


「は?」


「俺この学校わかんねぇから、空き教室案内してよ」



心海の手を握って歩き出す。



「ちょっ……」


「ほら、どっち行くの?」



断ろうとする言葉なんて聞きたくなくて、半ば強引に心海を連れて歩く。



「あ、まって……」



聞こえてきた着うたに慌てて俺から手を離して、ポケットからスマホを出す。

その慌て方に、彼氏に気づかれたくないというのが見え隠れしていて少し傷ついたりもする。
でも、必ず俺のものにするから。



「もしもし?うん……まだ帰れないから先に帰ってて。ごめんね……うん、帰り家行くから」



スマホを耳に当てて、彼氏だろう人と話してる。

〝家に行く〟
そんな言葉にすら嫉妬する自分は初めてだ。

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