俺様御曹司に飼われました
「彼氏より俺を優先してくれるんだ?」



スマホをポケットにしまった心海の手をもう1度しっかりと握る。



「なんかわかんないけど……このまま行けなかった」


「ふーん。俺に気持ち向いてんじゃない?」


「そんなわけないじゃない……あたしは小さい頃からずっと音哉がすきなんだから」



〝音哉〟と呼ぶ声が羨ましくて。



「はやく空き教室連れてけよ」



心海の手を強く握った。



「こっち……」



あまり嫌そうな顔をしていない心海に内心浮き足立つ。


ガラッと心海がドアを開けて中に入っていくので、俺もそれにつづく。



「なぁ、俺のことも暁って呼んでよ」


「暁……あなた名乗ってなかったからなんて呼べばいいかわからなかった」


「あーそうか。心海に見てもらうので忘れてたわ」



こんな自分の自己紹介も忘れるほど、誰かに夢中になるなんて初めてで。

なんでこんなに夢中になってるのかわからなかった。

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