俺様御曹司に飼われました
「あ、あの……あたしお昼はいつも同期と食べてるのでごめんなさい」



悪魔にペコッと頭を下げて、ドアの方を見る。



「お、心海」



ちょうど音哉が迎えにきたところだったようで、入口が片手を挙げている。



「じゃあ」



もう一度ペコッと頭を軽く下げて、カバンを持って入口の方へと向かう。

向かおうとしていた。
向かうはずだった。

なぜか目の前にいる悪魔がいなければ。



「あ、あの……?」


「まさか俺の誘い断るとかないよね?」



フッと笑ってあたしの腕を掴む。



「いや、まさかの断るんですけど」



こんな悪魔と食べるよりも気心の知れた同期と食べた方が楽しいに決まってる。



「俺、お前の飼い主なんだけど」


「はぁ?」


「あれ、忘れた?俺が飼うって話」


「忘れたわけじゃ……」



やっぱり、こいつ悪魔だ。
自己中の悪魔だ。



「それに俺のカノジョだっていったでしょ」


「そんなこと言われても……」



なんでこんな出会ったばかりで、自己中の悪魔と付き合わなきゃならないのか。

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