俺様御曹司に飼われました
「……暁」



自分の名前が呼ばれて、振り向いた先にいた知った顔にもっていたコンビニ袋を落とした。



「……親父」


「勝手に編入なんかしてなにを考えてるんだ」


「別に。ただ、親父の作ったレールにいつまでも乗ってられなくなっただけ」



ずっと、このまま親父の言いなりになるのがすべてなんだと思ってた。



「いいから、元の学校に戻るぞ」


「いやだ。俺はここを卒業する」


「母さんから聞いたが、好きな子ができたらしいな」


「それがなに」



親父には恋とか愛とか分からないんだろう。
表情なんてちっとも変わってない。



「お前には、萌香ちゃんがいるだろう」


「いねぇよ!俺は好きじゃないし」



萌香さん。
俺の婚約者として、幼い頃に紹介された。
俺はそれに従うのが当たり前だと思ってたけど、好きな女がいるいま従うわけにはいかない。



「いいのか?その子の未来がどうなっても」


「……は?」



親父の言葉に眉間にしわがよっていくのがわかる。

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