俺様御曹司に飼われました
「……心海」



廊下で友達と話してる心海に声をかける。



「暁!」



笑顔で俺に向かってくる。

……傷つけたくなんかないのに。
でも、傷つく言葉を言わないと俺は離れられる気がしない。



「ちょっといい?」


「うん!」



俺の言葉に大きく頷く。

この素直で嘘を知らないような瞳が本当に大好きだ。



「あのさ、心海……」



空き教室に入って、ぎゅっと心海を抱きしめる。



「暁?」



こんなことしたら、もっと離れられなくなるのに。
でも、触れたかった。
もう触れられない体に触れたかった。



「俺、東京戻るな」


「……え?」



俺の顔をビックリして見るその瞳が揺れてる。



「最後に心海を抱きたかったんだ」


「……え?」



さっきと同じ返事をくり返す。



「田舎の女ってちょろいんだな」


「……っ!?」



心海の目が大きく見開く。

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