俺様御曹司に飼われました
「東京にはさ、すんげぇ綺麗な彼女いんの。ほら」



前に誰だか知らない女と寝たときに、相手が勝手に撮った俺らの裸の写真。
こんな時に役に立つとは思わなかった。



「な、にそれ……」


「見ての通りだけど、わかんねぇ?」


「あたしは……?」


「お前わかりやすいんだもん。初めて見た時から遊ぶのにちょうどいいなって。俺は東京帰るの決まってたし、軽い気持ちでさ」



わざとらしく笑ってみせる。

本当は泣きたかった。

泣きそうな顔をする心海を抱きしめたかった。


──お前が好きだよ、お前だけだよ
そう言いたかった。


でも、俺の人生にそれは許されないことだから。



「ひどい……」


「俺さ、日本で1番でかい会社の御曹司なわけ。こんな田舎で一般人と付き合ったらどうなんかなーって思ってな」



いままで言ってなかった。
自分の家のこと抜きで見て欲しかったから。

自分の家のこと抜きに見てもらって、好きになってくれて。
それが初めてのことですげぇ嬉しかった。

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