俺様御曹司に飼われました
「あぁ。バレた。で……心海を傷つけた」


「お前……」


「俺はまだ、ガキだから……親父の言うことを聞くしかない。でも、本当は手放したくなんてなかった!あんなこと言いたくなんてなかった」



教室にある机を蹴りあげる。



「暁……」


「俺、どうすればよかった?なぁ草太……」


「わかんねぇけど……金持ちも大変なんだな」



俺が蹴り上げた机を草太が元に戻す。



「草太……お前だけは俺の本当の気持ち知っててくれ」


「わかったよ。俺が証明してやる。お前が茅ヶ崎さんに真剣だったって」


「さんきゅ。いつかお前も東京に遊びにこいよ!親父の会社に来たらあえると思う」



なぜか親父の会社で作られた俺の名刺を渡す。



「進藤コーポレーション!?」



草太が大きな声をあげる。



「声大きいって」


「いや、めっちゃでかいとこじゃん」


「まぁ、な……」



だから、あまり言いたくはなかった。
俺がでかくしたわけでもないのに、みんなすごいばっかり言うから。



「ま、お前はお前か。またいつか絶対会うぞ」


「あぁ」



草太という理解者がいたおかげで、なんとなく気持ちが少しは軽くなった。

心海の傷ついた顔を思い出すと胸が痛むけど。


また、いつか会える時があれば。
その時はすべてかっさらいたい。

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