俺様御曹司に飼われました
「はぁ、なんで俺が……」



あの時、心海を手放した後悔だけがつきまとって、それでも時は普通に過ぎていくもので。
気づけば、大学3年になっていた。



「めんどくせぇ……」



今日は親父の会社の入社試験。
面倒だけど、将来の勉強でもしとけと手伝いをすることになっていた。

大学2年の最初までは、親父のことを無視しまた俺も、卒業後のことを考えるとそういうわけにも行かず、いまは親父と普通に接している。

あんなんでも俺の親だ。

あれからほどなくして、母さんが病に倒れて死んだ。



『暁のこと、お父さんも本当は心配してるから。本当はあなたたちを引き裂いたあとひとり泣いてたのよ』


死んでから一年後にやっと見れた母親からのビデオレター。
それを見て、親父のことをちゃんと見ようって思った。

親父に話しかけたとき、珍しく嬉しそうな顔をしたのを見て、あぁこの人もちゃんと父親なんだって初めて思った。
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