俺様御曹司に飼われました
「あれ?ここじゃない」



会社の近くの交差点で、なぜか行き交う人を見とけと言われた俺は、何回も何回も同じ場所を通ってるひとりの女性を発見する。



「あのスーツに髪型……さっきも見たよな」



俺が30分くらいここにいるだけで、もう3回は見てる。

たぶん、親父のいう仕事はここで迷子の人とかいないかを見とけということなんだと勝手に解釈してる。



「あの……」



俺は彼女の前に回り込む。



「はい……?」



突然話かけられてびっくりした顔をするその彼女。



「……っ」



初めて前から彼女のことを見て、俺の心臓が止まるかと思った。



「こ……」



心海と声が出そうになる。
でも、彼女は俺を見て首を傾げてるだけでそんな素振りも見せない。



「あの……?」



何も言わない俺にキョトンとした顔で尋ねる。



「あ、ごめん……さっきから何回もここをとおってるけど迷ってる?」


「あ……はい」



顔を赤くして恥ずかしそうに頷く。

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