俺様御曹司に飼われました
「なぁ、あいつ俺のこと覚えてないみたいなんだけど……」


『誰のことも覚えてねぇよ。自分のことも』


「……は?」



草太の言ってることが理解できなかった。

ダレノコトモ オボエテ ナイ??
ジブンノ コトモ オボエテナイ??

言葉はわかるけど、意味が理解出来なかった。
いや、出来なかったんじゃない。
したくなかったんだ。



『俺は詳しくはわかんねぇ』


「そ……か……。誰かわかるやついねぇの?」


『んー。いるね』


「そいつと話させてくんねぇ!?」



藁にもすがる思いだった。
あのあと心海がどうしていて、いつ何があって記憶を失ったのかを知りたかったんだ。



『じゃあ、番号送っとくからかけてみたら?』


「おう、さんきゅ」



草太との電話を切ってすぐに、LINEで電話番号が送られてくる。



「つーか、これ誰の番号なのか聞き忘れた」



それほどまでに慌ててた。
どうしてもはやく理由が知りたくて。

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